業務支援部/渡理・岩田

氷を作る現場に、働きやすさをどう届けるか

本社で長く働いてきた二人に話を聞いた。総務・経理を担当する渡理さんは勤続29年、営業事務から業務支援部へ異動した岩田さんは勤続18年。二人が語ったのは、自社の氷への誇りと、この会社で働き続ける理由だった。

「うちの氷は自慢できる」── 渡理さん(勤続29年)

都内できちんとした氷を出している店の多くに、小野田商店の氷が入っている。渡理さんはそれを、少し誇らしげに口にした。

自慢できますよね、うちの氷なんだよって

「氷って、需要が必ずある。時代に流されない。製氷機とか出てますけども、弊社と同じクオリティの氷は、やっぱりこの作り方じゃないと作れないので」。近年は社長がメディアに出る機会も増え、それを見て応募してくる人も現れている。

任されてきたことが、29年の支えになった

小野田商店は、渡理さんにとって最初の勤め先だった。最初の2年は営業として得意先を回り、集金をしながらニーズを聞いた。総務の人員が減ったのを機に異動してからは、ずっとその職務にある。

現在の業務は、給与計算から労災や傷病の手続き、健康保険や雇用保険、社内で起きた事故への対応まで幅広い。一度タスクを整理してみたところ、90から120ほどが並んだ。いまは分類をAIに頼りながら、相変わらずものすごい量の業務をさばいている。

できる業務が増えるにしたがって、自分の裁量で仕事ができるようになったんで、そういう意味ではストレスはほぼなかったですね

一人で回せば、量も責任もそのまま自分に返ってくる。それでもストレスがほぼなかったと言い切れるのは、抱える量そのものより、自分で決められるかどうかのほうが働き方を左右してきたからだろう。

制度を、自分で使ってみせた

昨年、渡理さんは育休を取得した。もともと取る予定はまったくなかった。年末調整に宅建の更新、建設業の更新と、忙しい時期が全部重なっていたからだ。それでも取ることになったのは、社長と上司に相談したときの一言だった。「ぜひ育休を取ってください」。

男性が育休を取得すると、妻の側の育休給付が上乗せで補助される国の制度がある。取ってよかったと本当に思った、と渡理さんは言う。育児は1週間や2週間では全然足りないことも、そこで知った。こうした制度を現場でも使える形にしていくことが、これからの課題だ。

社内の空気も変わってきた。社長が若くなったこともあり、以前より話しやすくなった。相談相手が上司だけだった頃と比べると、決定までが早くなった。「いろんなことをやってみようよ、っていうのが好きなんで」

「子ども優先でいい」から始まった18年 ── 岩田さん(勤続18年)

入社したのは息子がまだ4歳のとき。保育園に通わせながらの勤務は簡単なことではなかった。その岩田さんが、18年経ったいまも忘れずにいる言葉がある。

子ども優先で面倒見てあげて構わない、と言われたのが、一番ありがたく思ったことですかね

制度として整えられる前に、まず言葉があった。「子ども一番にしていいんだって思ってくれてる会社なら、自分も一生懸命その恩を返していこう、そういう思いはありました」。残業がなかったため、時間どおりに保育園へ迎えに行き、一緒に夕ご飯も食べられた。いまはフレックスタイムがあり、9時から14時のコアタイムを守れば、生活スタイルに合わせて出勤できる。

苦手なことに、手を伸ばせる場所

岩田さんは入社から16年を営業事務として過ごし、去年から経総課へ移った。異動の話が出たとき、社長から「やれそう?」と聞かれて返した第一声は、私は向いてないと思います、だった。それでも移り、いまは採用や入退社の書類を担当している。

社会保険や税金も、長く苦手にしてきた分野だ。それでも、覚えていくことに手応えを感じている。「社会保険料は大体このぐらい引かれるんだよとか、説明ができるようになっていきたい」。苦手だったものが、暮らしの役に立つ知識に変わっていく。

基幹システムがクラウド会計ソフトに切り替わったときも、岩田さんは戸惑っていた。そのとき支えになったのが、社長の「僕に何でも聞いてください」という言葉だった。「社長に何でも聞けたっていうのは、ものすごく大きかったです」

氷が、誇りに変わった日

岩田さんの氷への思いが変わったのは、つい最近のことだ。工場を見学したのは18年ぶり。最初のときは右も左も分からずそのまま戻ってきたが、今回は違った。そこで働く人たちは、プライドを持っている。その姿を見た。

変化は、やり取りにも表れた。工場長とSlackで連絡を取ったとき、返信の最後に音符がついていた。それまでは、なかったことだ。

29年と18年。二人が働いてきた場所は、いま少しずつ形を変えている。自慢できる氷があり、その氷を届ける人たちの働き方を整えていく仕事がある。

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