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氷彫刻の達人からレッスンを受けました!


先日、氷彫刻家の小野様から、その彫刻技術の一端を小野田商店の社員にご教示頂きました。大きな氷ブロックを積み重ねてチェンソーやノミで彫り出していく本格的なアイスカービングは、規模的にも技術的にもハードルが高いこともあり、三貫目氷(360mm×290mmほどの大きさ)でできるドリルを使った氷彫刻を教えて頂きました。

ドリルを使った氷彫刻では、氷の板の裏側から内部に花びらの形に彫り込みを入れることで、正面から見た時に、氷の内部に花が入っているように見えるというものです。

彫り込んだ部分は雪になっているため着色すると、より一層花のような美しさを見せます。

この色は時間経過で融け流れてしまいますが 、着色後にフタとなる雪をドリル孔に埋め込み、冷却スプレーをかけて固めることで、ある程度長もちさせることが可能となります。

氷彫刻の中では比較的小さいものではありますが、透かして魅せるという性質上、小野田商店の氷の大きさと透明性をフルに活かすことのできる彫刻です。

上達には数をこなして、経験則から美しいパターンを彫り込む方法を覚えるのが一番なので、皆さん非常に沢山の氷を使って練習していました。

まずは花びらや葉を綺麗に彫り込む方法を習得し、それがある程度上達してきたらそれらを4~5枚繋げ、一重咲きの花へとしていきます。そこから花びらの角度を調整できるようになると、花びらが何層も重なった八重咲き氷の花を彫ることができます。

氷の美しさを最大限に生かす


氷の中に彫り込んで着色した花はなかなか見事なものになりますが、これをより一層輝かせる技術として、内部に花を彫り込んだ氷の外側にも、宝石を研磨した後カットするように、さらにエッジなどを彫り込むことで、屈折によりさらに煌めきを増していきます。

H₂Oは屈折率が液体(水)で1.33、個体(氷)で1.31とあまり変わらず、対して一般的な板ガラスで1.52、レジン(熱可塑性プラスチック)では1.58、ダイヤモンドでは2.42と、他の透明なものと比べると低めの屈折率で、やや鈍い特有な輝きを持ち、それはダイヤモンドやガラスといった派手なキラキラとは違った、懐かしさや涼しさを感じさせる独特なものです。

この輝きは、 エッジの彫り込みなどで内部の屈折面がさらに増え、一層際立ちます。

氷彫刻家の小野様は見事な捌きで氷にエッジングをしていき、あっという間に元の氷よりもさらに華やかさを増した、氷の芸術へと姿を変えていきました。

その無駄のない手腕、刃の切れ味には目を見張るものがあり、削り出された氷の切片も滑らかになっており、まるで高級かき氷のようにフワフワとしたもので思わず手に取りたくなる感触でした。

レッスン当日は、ほどよく日も差しており、氷の輝きもより一層映えるものとなっていました。

日の差し込み具合で綺麗に輝くほど、より短時間で融解が始まってしまうというその儚さは、まさに氷彫刻 の欠点でもあり、同時に魅力でもあるといえるでしょう。

もちろん、削る技量こそが氷彫刻の美しさにおいて最も大事な点ではありますが、着色もまた腕の見せどころでもあります。色をつけることで葉と花びらの区別などをつけることができ、色彩の豊かさでの表現が広がります。また、高度なテクニックとして複数色を組み合わせて使うことで、花びらにグラデーションをつけることも可能です。

この着色の瞬間こそ、作品に命の宿る、最も氷彫刻において映える瞬間でもあり、小野様が最初に披露されたときにも思わず拍手が 上がっていました。まさに「画竜点睛 」です。

氷彫刻の秘密兵器!


当社においても氷彫刻用のドリルを購入したのですが、これはまさに氷彫刻における「秘密兵器」と呼べるものです。一般的なドリルを氷彫刻に使用するのでは、開けた孔に雪が詰まってしまい、どうしても途中で止まってしまうのですが、専用のドリルでは上手く氷を掘ったときに出る雪を、外に送り出しながら作品を彫り進めることができます。

その構造は一般なドリルよりも、ねじれ角がなだらかであり、先端に向かって細くなっていく形状で、まるで氷を砕きながら後方へと送り出し前進する、氷砕観光船ガリンコ号にも搭載されたアルキメディアンスクリューにも似ています。

氷彫刻用のドリル

砕氷船ガリンコ号のアルキメディアンスクリュー

氷彫刻家の小野様には大変熱心に指導して頂き、小野田商店の社員一同も大変感謝していました。

明治神宮奉納全国氷彫刻展などにも、毎年のように氷を納めさせていただいている小野田商店ですが、こうして実際にその作業の一端に触れることで、より優れた氷造りに生かしていけると考えます。

小野田商店一同、現状の技量に満足することなく、日々一層氷と様々な角度から向き合い、理解を深めながら、より良い製品造りに挑んでいきます。