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氷彫刻の職人とは?


今年は2年ぶりに、明治神宮奉納全国氷彫刻展が開かれました。

全国から多くの職人が集い、極寒の夜中に作業を進め、たった一晩で儚くも華やかな氷の芸術が、都会のオアシス に花開きました。

僅かな時間で氷の塊を荘厳な芸術に変えてしまう氷の彫刻はいったい、どのようにして作られているのでしょうか?

氷の彫刻を作ることをアイスカービングと言いますが、その職人は調理師養成施設などで技術を習得することが多いようです。

そもそもアイスカービングとは、ホテルの宴会会場におけるウェディングやパーティーなどの際に、食事と共に装飾品として置かれることが多いものです。特にウェディングにおいては、一夫一妻制の生態をもつことから白鳥のモチーフが人気なようです。

 一般的に大型ホテルでは、そのホテルの調理部門が製作を担当することが多く、味や饗(もてな)しだけでなく視覚的にも、ゲストを楽しませるホテルマンの腕の見せどころといえそうです。

結婚式場の氷彫刻

・帝国ホテルの結婚式会場に置かれた氷彫刻

また 一方では、氷彫刻においても世界的に知られ、2003年には「Cool Carvings」というドキュメンタリー映画にもなったアイルランドの彫刻家グループ、デュテイン・ディールブ(Duthain Dealbh)は、もともとは砂を使った彫刻、砂像で有名なアーティストでした。

(デュテイン・ディールブとはアイルランド語で、ひと時のかたち、の意)


また近年においてはCNC(コンピューター数値制御)を用いた削り出しによる氷彫刻も展示されるようになってきており、様々な業界から腕利きの職人たちがアイスカービングに挑んでいます。

氷彫刻作成の手順


「【匠の技】氷彫刻/日本最高レベルの技!」動画提供:東京アイスアカデミー

手順1:デザイン

では具体的な氷彫刻の作成手順について解説しましょう。

まずは、作成したい彫刻のイラストをデザイン画として書き起こします。

このデザイン画は、正確な寸法まで計算を書き込んだ、イメージ図というより 設計図に近いものとなります。石や木材を使った彫刻の場合は素材へのケガキから始めることもありますが、繊細で時間的にも制約がある素材の氷を用いる場合には、このデザイン画の正確さがキーポイントです。

※「【匠の技】氷彫刻/日本最高レベルの技!」東京アイスアカデミーより抜粋

手順2:ケガキ(氷への下書き)

次に積み上げた氷柱にケガキを行います。積み上げた氷柱は、石柱や丸太などの彫刻素材と違い平面的なので、いかに奥行を持たせたような演出ができるかが 職人の腕の見せ所の一つです。また表面の氷の状態が良くなければケガキを行うのも困難であるため、氷の適切な管理を行うことも氷彫刻において非常に重要なことです。

※「【匠の技】氷彫刻/日本最高レベルの技!」東京アイスアカデミーより抜粋

手順3:削り出し

ケガキを終えた氷はまず、チェンソーで余分な部分を大きく削り落とします。この作業は一見豪快なものですが、誤って必要な部分まで落としてしまえば取り返しがつかないので、ある意味もっとも神経を使う作業かもしれません。丸太を使ったチェンソーアートなどではチェンソーだけで最後まで作品を仕上げてしまったりしますが、繊細な素材である氷を使った彫刻では、この後さらに細かい道具を使った削り出しを行います。

※「【匠の技】氷彫刻/日本最高レベルの技!」東京アイスアカデミーより抜粋

手順4:細かい仕上げ

細かいドリル等の器具で、細部を仕上げていきます。この作業こそまさに「画竜点睛」と呼べるもので、一気に氷塊が作品と変わっていきます。特に野外で作業する場合には氷の状態が氷柱を積み上げた段階の時とは変化している場合もあるので、繊細な模様等を壊してしまわないように、その時の氷のステータスを見極め、適切に作業していくことが必要となります。

※「【匠の技】氷彫刻/日本最高レベルの技!」東京アイスアカデミーより抜粋

氷彫刻の完成

こうして見事な氷彫刻が完成します。氷彫刻のデザインはもちろん優美さ、ディテールの繊細さ等は重要ですが、氷という素材上の制約も多く、あまりバランス的に無理のある構造にしてしまうとすぐに倒壊してしまいます。そのため、様々なことを考慮して職人の腕を振るい完成する氷彫刻ですが、真冬で条件が良くても2日ほどしか持ちません。しかし、ガラス細工等では表現ができない、独特な屈折率を持つ自然な輝きと、その儚さも相まって、多くの感動を与えてくれます。

※「【匠の技】氷彫刻/日本最高レベルの技!」東京アイスアカデミーより抜粋

日本ではホテルでの結婚式やパーティーなどの時にこれらをオーダーすることができますが、定期的に行われている、氷彫刻が見れるイベントとしては、毎年成人式のシーズンに合わせて明治神宮の参道で行われる明治神宮奉納全国氷彫刻展はもちろん、

さっぽろ雪祭りに合わせてススキノメインストリートで行われる、すすきのアイスワールドも見ものです。1981年から始まったこのイベントは、ネオン街と60基を超える氷彫刻のコラボが醸し出す、幻想的な雰囲気が特徴です。

2022年は中止になってしまいましたが、2023年には是非行われることを願います。

・第46回明治神宮奉納全国氷彫刻展の出展作品。

氷彫刻はよくみるとケガキの痕跡などが残っていることもあり、

職人のテクニックの一端が伺えるのも見どころの一つです。

日本だけでなく、世界的な大会も!


我が国ではこのような形で親しまれている氷彫刻ですが、世界中でもアイスカービングは行われており、中でも1981年よりアメリカ合衆国アラスカ州フェアバンクスにて、NPO団体のIce Alaska主催にて行われる、世界アイスアート選手権は世界最大の氷彫刻の祭典です。

大会に使われる良質な天然氷の産地、オグラディ池

アラスカの極域環境にて結氷した、オグラディ池の深度80フィートから切り出される「アークティック・ダイアモンド」と呼ばれる超良質な天然氷を大会で使われる作品の素材としており、毎年30か国もの国から100人以上の職人やアーティストたちが参加します。

このイベントにも日本からの大会参加者が出場し、度々優勝を収めています。

このようなイベントは、常日頃より手堅い技術にて見事な仕事を続けている達人たちにとっての、まさに「晴れ舞台」の場所と言えます。

参考及び出典:東京アイスアカデミー…tokyo-ice-academy.com

      :Icealaska(NPO) ….2021 World Ice Art Championships – Fairbanks Ice Park – icealaska.org