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氷が魅せる奇観、アイスバブル


カナダ、アルバータ州のアブラハム湖にて観察できるアイスバブル

(中文Wikipediaより引用)

皆様はアイスバブルという現象をご存じでしょうか?

この現象は、冬季に凍り付いた湖面の氷中に泡が閉じ込められて、まるでクラゲのような白い気泡が重なって湖の奥へ続いているのが見える神秘的な景観です。

湖底に堆積した植物遺骸から発生したメタンガスが湖面で凍って泡の円盤ができ、そして湖の凍結が表面から底の方へと垂直方向に広がっていく度に、発生したメタンガスもまた凍っていくことで新たな泡の円盤が生じ、それらが繰り返されることで何層にも積み重なった泡が湖の底へと続く、なんとも不思議な景観が形成されます。

アイスバブルが観察できる湖の中でも、カナダのアルバータ州にあるアブラハム湖は世界的に有名です。 このアブラハム湖は1972年に造られたビックホーンダムのダム湖として誕生した、面積53.7km2もある巨大な人造湖です。

もし日本の湖であれば13番目の大きさであり、14番目に大きい霞ヶ浦の北浦よりも18.4km2も大きく、おおよそ三宅島に匹敵する大きさです。

アブラハムという名の由来は、かつてこの湖がある場所にあった、クートネイ平原で生活していた先住民であるブラックフット族のサイラス・アブラハム氏が由来となっています。

この湖がアイスバブルで有名な由来は、この辺りの地域が年間洪水量及び積雪量が少なく、強い風が吹いていることが多いことから、湖面に雪が積もってもすぐに吹き飛ばされることが多いため、凍結した湖面がよく観察できることにあります。

しかし、このような様々な要因が重なってできたこの光景ですが温暖化の影響か、通常は12月末までに凍結しますが、2020年は1月まで凍結せず、今では1月上旬~2月下旬の短い期間がアイスバブルを見れる時期となっているようです。


日本でも北海道の阿寒湖や糠平湖で確認されていますが、積雪すると見えなくなってしまうため、観察できる期間はさらにごくわずかのようです。

氷のタイムカプセル、ハイドレート(包接水和物)


さて、アイスバブルは氷に閉じ込められたメタンガスですが 、メタンと氷の組み合わせというと、「メタンハイドレート」を思い出す方も居られるのではないでしょうか?

「燃える氷」とも呼ばれる、一時期日本の海底資源として大いに注目を浴びた物資です。

海底に埋蔵する、一見氷のような見た目をした物質ですが、火をつけると燃焼し、燃え尽きると水が残るという奇妙な物質です。このメタンハイドレートとはメタンが凍ったものなのでしょうか?

まず、ハイドレート(hydrate)とは日本語に直すと「包接水和物」になります。

これは 水分子がカゴ状に水素結合を形成し、内部にガス分子などを包蔵する性質を持っている状態です。包蔵される分子により性質はことなりますが、ここにメタンを包蔵するとメタンハイドレートとなります。ちょうどスポンジが多くの水を吸い上げるように、ハイドレートは自身の体積の百数倍ものガス密度を持つとされます。 ハイドレートは一般に高圧かつ低温の条件が整うことで生成されます。

燃えるメタンハイドレートのイラスト

(いらすとやより引用)

本物のメタンハイドレート

(中文Wikipediaより引用)

国産のエネルギー資源に乏しいわが国では、領海内の深海から、日本のメダンガス消費量の100年分以上のメタンハイドレートが発見されたことで、純国産のエネルギー資源を獲得できるのではないかと湧きましたが、非常に高い採掘コストという問題がありました。しかし、日本政府が一兆円もの投資を行い、シェールガスをも超える天然資源として実用化に向けて現在も動いている真っ只中です。

メタンハイドレートは化石燃料であり、太古から贈られたエネルギーのタイムカプセルと言えます、その起源については海中の微生物が分解されてできたメタンガスだという説もあれば、火山ガスなど非生物が由来のメタンガスだという説もあり、まだ謎が残されているようです。

メタンハイドレートの存在する深海以外でも、南極大陸に堆積した雪の下層部はハイドレートの生成条件である、高圧かつ低温の条件が整うため、太古の空気を閉じ込めた「空気ハイドレート」が存在します。

 南極ドームふじ氷床コア中の空気ハイドレート

(引用:日本氷雪学会・雪と氷の画像素材集より)

南極、及び北極では、降り積もった積雪層の重さによる圧密によって形成される氷の中に、降雪時の大気が気泡として取り込まれます。気泡中の空気がおよそ50気圧を越える深さに達すると、氷を形成している水分子と空気とが反応しエアハイドレート結晶へと徐々に変化します。このハイドレート中に包蔵される空気は非常に古い時代の、地球の大気を閉じ込めたタイムカプセルともいえるもので、これらのサンプルを積雪層の下層部からコア堀(パイプ状の掘削機を使って深層部のサンプルを得ること)して解析することはかつての地球がどのような状態であるかを探るのに大きな手助けとなります。

近年ではこの空気ハイドレートを、医療用、産業用などで普及しているX線CT技術によって立体的に可視化することにも成功しており、今後さらなる研究の進展が期待されます。

小野田の超純氷®にもアイスバブルが?


太陽光に晒した、水道水を急速冷凍した氷中に見られる泡

一般的な水道水を急速冷凍した氷の中には、無数の細かな気泡として空気が水の中から逃げる前に凍って閉じ込められてしまい、それらは氷の中で白い濁りのように見えます。太陽光に晒して融かしていくとよく観察でき、それらの濁りは細く糸のように伸びた泡などから構成され、ご家庭の冷蔵庫中のアイスストッカーでも特に工夫をせずに氷を作れば同様の気泡を観察できると思います。

太陽光に晒した小野田の超純氷®の中に見られる気泡(?)特異な形状をしているように思える。

小野田商店にて製造している、小野田の超純氷®は原料水中の空気を攪拌しながら、不純物が多い部分の水を特殊な製法で処理した純水と交換しながら完全に凍結させ、60時間以上もかけて造られています。これらの製法の差によるものなのか、これを太陽光に晒して融かすと、内部に薄い形状のスパンコールのようなキラキラした気泡のようなものを観察できます。

極限まで不純物を取り除いているので何らかの不純物が浮き出たものということもなく、小野田の超純氷®は氷の芯以外はほどんど完全に透明で、製造時や常温で融解しているときにはあまり観察できないのですが、太陽光に晒して融かすとなぜかよく浮き出てきます。

太陽光に晒した小野田の超純氷®の中に見られる気泡

アブラハム湖のアイスバブル

(英Wikipediaより引用)

太陽光に晒した小野田の超純氷®中に観察される気泡のようなものは、いわゆるアイスバブルにもどこか似ているようも見えます。

ゆっくりと水中の気体が凍ること、急速冷凍のものにできる泡とは違う、ほとんど見えないほど薄い泡が氷の中に表れて、太陽光に晒すことでそれが浮き出て見えるのでしょうか?

あるいは空気を攪拌しながら製氷していることが、とくに手を加えず抜けていく水の中との泡の違いを生むのでしょうか?そして太陽光に晒すとよく観察できるのはただの光の屈折によるものなのでしょうか?

なかなか不思議な現象です。

謎の気泡の正体は果たして


小野田の超純氷®は徹底的して不純物を除去した原料水を用いて、厳しい第三者機関の衛生検査を受けているので、何らかの異物、ましてやメタンガスなどは含まれていないのですが、このアイスバブルにも似た不思議な気泡はどのような経緯で出来るものなのでしょうか?まさか大穴で一種の空気ハイドレートだったりするのでしょうか?

氷や気体についての性質にお詳しい方で、何かヒントになりそうなことを知っている方は、是非気軽に小野田商店までご意見頂けると幸いです。